ボーカルのない音楽 大学生たちが教えてくれたこと。

先週土曜日のAREIA SAX COUNCIL 20th ANNIVERSARY LIVEは、
おかげさまでたくさんのお客様にご来場いただき、
出演者の皆さんの演奏力で、素晴らしいものになりました。
感謝の言葉は尽きません。ありがとうございました。
当日はゆかりの方々による5ユニットの演奏が展開されましたが、
中でも大学生によるストレートアヘッドなジャズ演奏は、
場内のすべてのお客様がじっと聴き入った素晴らしいものでした。
彼らのひたむきさ、たゆまぬ努力とその結果の圧倒的な音楽力は、
ジャズに興味のない方々の心さえ打ったようでした。

いつの時代も、わかりやすいもののほうがより多くの人に支持されます。
音楽にはボーカル(ウタ)というパートを含んだものがあって、
それがある音楽のほうが、ないものより人気があります。

ジャズは、もちろんジャズボーカルというカテゴリーもあるにせよ、
大きい意味でそれが指す意味は、ウタのない「インストゥルメンタルミュージック」です。

ジャズの最大の特徴は、
楽譜にかかれていないことを自由にやっていい、
そしてそれがどれだけの可能性をもって展開されていくか。
何の台本もないその「展開」のプロセスにおいて、
音を通じて他者とコミュニケーションを図るということです。

私は、まさにこれはジンセイというやつを、
二度と戻らぬ瞬間瞬間で体験することに似ていると思っています。
予測できないこと、シナリオのないことばかりです。
どうしていいかわからないけれど、英知を尽くして何とかやっていく術を思いつくこと。
自分もしゃべるけれど、相手にもしゃべらせる。
お互いを生かすこと。
本当に素晴らしいことです。

ジャズに限らず、音楽において練習は欠かせません。
日々の鍛錬、それを続けていける持久力と集中力が必要ですし、
強い心、負けない心、ひいては安定した精神力も必要です。

何も演奏するというだけの話ではありません。
聴くということにおいても同じです。
たくさんたくさん聴いていると、
様々なことに気づき、五感が研ぎ澄まされていくはずです。
ボーカルのない音楽は、時に退屈を感じるかもしれません。
でもそれは時に、演奏者の責任でもあるかもしれません。
ジャズは退屈か?
そうでないことは、大学生たちが教えてくれました。

ありがとう、素晴らしい良い夜でした。
私も頑張ります。

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